中学校進学時の進路について
当院では小学校高学年以降も状況に応じて、フォローアップ外来を継続し
中学校進学時の進路について担当医と一緒に考えていきます。
今回はNICU卒業生の親御さんであり、特別支援教育コーディネーターでもある中学校の先生に、中学校での支援状況などについてお話しをききました。
- 何らかの配慮や見守りが必要な子どもにとって、中学校は小学校と支援体制は異なりますか?
-
学校によって、支援体制が大きく異なることが課題です。
そのため、通学する学校との密な関係づくりが必要です。
家庭や小学校での様子、医療機関での検査内容など、「具体的な状況」を共有できると学校での支援がより深まります。
担任だけでなく、生徒指導専任や特別支援教育コーディネーターとの情報共有があると良いでしょう。
多くの目で見守ってもらえることが、安心につながります。
〜学校との情報共有のポイント〜
【生活面】
- 身の回りの事(食事、着替え、排せつ、移動、持ち物準備や整頓など)
- 集団での行動(小さな集団・大きな集団)
- 指示の理解
- 感情のコントロール
- コミュニケーション、友人関係など
【学習面】
- どのようなサポートがあると、より理解しやすいか
(声だけより、目からの情報が補足されるほうがよい、個別の声かけがあると取り組みやすい など)
- 各教科の得意・不得意・進みぐあい
- 学習への意欲
- グループワークのときの状況
- 中学校との相談は学校間での調整が必要であり、まずは小学校の先生(学校の担任や児童指導、特別支援コーディネーター)を通して行います。
- 当院で行った知能検査や発達検査( 詳しくはこちらへ )の結果は、学校の先生に伝わりやすいように記載してお渡しすることができます。(文書料がかかります)
外来でご案内しますので必要時はお声がけください。
- 通常(一般)級、通級、支援学級、特別支援学校
それぞれの「中学校ならではの課題」 を教えてください。
- どの環境においても、中学校は社会生活(自立)に向けての本格的な準備段階です。
特性に応じて、“生徒自ら行う機会”が増えます。
中学校より先の進学を見据えて、居場所を選択していく必要があります。
通常(一般)級: 生徒数が多いことや、学習に“結果”が出ることで不安が増えるお子さんがいます。
教員からの一斉指示を受け止めることができ、人とのコミュニケーションが取りやすいお子さんは安定しやすいです。
部活動で力を発揮し、自信を持つことで安定するお子さんもいます。
通級: 例えば横浜市内の中学では自校通級できるのは4校と少なく(難聴は2校のみ)、通いやすい学校を相談して決めます。
自力で通学できるか、普段通学している学校との環境の違いに適応できるか、などを考慮します。
支援学級: 通常(一般)級との教科交流・行事交流を生徒の特性や目標に応じて行います。
小学校より周囲の理解が進んでいることが多いですが、課題もあります。
1年時から進学先の見学など、卒業後の進路を意識しておくと良いです。
学校生活を送る中で教員が進路についてアドバイスできることもありますが、保護者からの働きかけも重要です。
卒業後は通信制高校+サポート校、インクルーシブ校、単位制高校など、様々な選択肢があり、中1-2年生向けの説明会もあります。
特別支援学校: こどもの状況に応じて、自立に向けての支援が行われます。
特性や性格を考慮し、中学校で過ごす状況を見ながら進学先について相談していきます。
高等特別支援学校、特別支援学校高等部の本校・分教室など、学校によって違いが大きいです。
高等特別支援学校や特別支援学校高等部の説明会の情報は文書ではなく、ウェブサイト上で行われることがあり、自ら情報を収集する必要があります。
保護者間の情報共有があると心強いです。
( 学校にまつわる言葉の解説は こちら もご参照ください。)
- 中学への進学では、子どもの想いをどのように尊重したら良いですか。
- 小学校6年間の間に子どもの想いを聞きながら、少しずつ一緒に先のことについて話ができると良いと思います。
親子で話し合いをかさね、お互いに理解を深めることで、子どもにあった進路選択ができると思います。
子ども自ら進路選択ができるようになることもあります。
どんな選択をするとしても、
「失敗してもいいんだ」「間違ってもいいんだ」
と子どもが思えるようになることが必要です。
失敗しても、最大限フォローできるよう環境を整えるのが大切です。
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